第283回研究講演会開催報告


日時:平成12年8月21日(月) 15:00〜17:20
場所:東北大学工学部電気情報館3階 351・353会議室

演題:Minds, Brains and Computer Science
講演者:Jiri Wiedermann (Academy of Science of the Czech Republic)
講演要旨:
動物や人間の心の活動をアルゴリズム論的に理解することは, コンピュータサイエンスに与えられた最大の課題であろう. 最近,L. Valiant によって提案された,ニューロイダルネット と呼ばれる認知科学のための新しい計算論的パラダイムは, コンピュータサイエンスにおける認知情報処理システムの研究の 1つの枠組みを与えている.こうしたパラダイムは,また, さまざまな興味深い問題を我々に提起している.本講演では, 記憶,認識,自我,感情など,一般に認知システムに関わる さまざまな問題や疑問を計算論的に議論するための形式化が 試みられ,脳や心の計算モデルのあり方について,コンピュータ サイエンスの視点から意見が述べられた.

演題:Replacement Systems and Their Modelling by Polynomial Ideals
講演者:Ernst W. Mayr (Technische Universitat Munchen)
講演要旨:
有理数やGF(2)などの体の要素を係数として持つ多項式環は, モデリング,シミュレーション,幾何概念の表現, ダイナミックシステムなど,さまざまな問題を代数的に分析する ための道具として使われている.本講演では,多項式のシステムが その共通零点の集合として表される代数多様体を定義すること, 及び,数学やコンピュータサイエンスにおけるさまざまな問題が, その多様体上の多項式イデアルとしてモデル化できることが, 平易な言葉で解説された.特に,並列処理計算のモデルの1つである ペトリネットが取り上げられ,ペトリネットにおける到達可能性 問題が,与えられた多項式がある多項式イデアルに含まれるか どうかを決定する問題に還元できること,そして,その計算の 複雑さが指数領域完全(EXPSPACE-complete)となるという 講演者自身の有名な結果が紹介された.

参加者:31名
報告者:瀧本 英二
東北大学大学院情報科学研究科
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