講師の門脇 隆 様より、宇宙産業に関する熱意に溢れる講演が行なわれた。そ の内容は、単に技術の開発に留まらず、世界的な視野に立った国の技術政策に も及んだ。
門脇講師は、宇宙を、陸、海、空に次ぐ 「第4のインフラ」と位置付けてい る。これは、衛星放送、カーナビ、天気予報等に見られるように国民生活に定 着しつつあることや、近年、IT革命によって、情報通信を中心に、世界的に宇 宙利用の裾野が急速に広がってきていることを根拠としている。わが国の宇宙 産業が、「宇宙の産業化」を通じて「宇宙インフラ」の整備を下支えしていく ことにより、宇宙が国民の社会的・経済的要請に応える社会インフラとして貢 献できる日がすぐそこに迫ってきているのである。
世界の宇宙産業の市場規模は2010年には1998年の約4倍の40.2兆 円に達すると見込まれており、このような将来性のある宇宙市場を獲得するた めに、欧米ではすでに、官民一体となった宇宙の産業化・商業化が進められて いる。日本においても、国民の安全や生活の質的向上、情報化社会の進展とい う観点から、宇宙の重要性は一層高まると考えられ、産官学一体となった宇宙 開発・利用を進めることが重要である。