平成23年度 情報処理学会東北支部研究講演会(第361回講演会)開催報告


平成23年度 情報処理学会東北支部研究講演会(第361回講演会)開催報告

日時:2011年12月9日(金)16:10〜17:40

場所:山形大学工学部4号館117教室

演 題:スーパーコンピュータ「京」のアーキテクチャ

講 師:清水 俊幸(しみず としゆき)
富士通株式会社 次世代テクニカルコンピューティング開発本部
システム開発統括部第二開発部 部長

講演報告:
 スーパーコンピュータ「京」は、スパコンランキングTOP500において、2011年6月に続き、11月にも世界最速と認定された。
8コアのSPARC CPUを88,128個接続した「京」は、LINPACK性能10.51ペタフロップスを実測し、初の10ペタフロップス越えのシ
ステムとなった。 本講演では、まず、LINPACKの性能評価法について解説があり、TOP500の他にHPC Challengeの4カテゴリ
でも一位になったことの紹介があった。次に、「京」のアーキテクチャとして、3次元トーラスを拡張したTofu(torus fusion)
と呼ぶ6次元構造でCPUチップを接続し、広帯域幅・低レイテンシ伝送と耐故障性を実現していることが、アニメーションを交
えて詳しく解説された。ユーザアプリは3次元トーラス向きのプログラムとして作成すれば、コンパイラとスケジューラが「京」
に適応させてくれること、10倍の100ペタフロップスまでは、現状の技術で性能向上が見込めること、などの説明もあった。質
疑応答は、GPGPUシステムとの競争、耐故障性能、使用電力量などにわたった。参加者は、スーパーコンピュータのトップ技術
に触れ、技術進展への期待を共有することができた。

参加者:48名

報告者:平中幸雄(山形大学大学院理工学研究科 情報科学専攻)